8月3日~8月5日

8月3日

とても調子が悪かった。夜、ほんの少しの音や声が聞こえただけで、体があの日に戻ってしまう。体がこわばって動けなくなった私は、両手で二の腕をさすってみた。自分で自分をハグすると落ち着ちつきます、と何かの本で読んだからだ。でもやっぱダメっぽい。背中や眉間や足などあらゆるところが緊張してきて、部屋の空気が停滞しどんよりしてくる。部屋を完全に閉めてしまって、まるで猫に追い詰められたネズミのようにびくびくしながらベッドの上でうずくまった。音が聞こえる度に背筋に戦慄が走って呼吸が早くなる。こうなると息をいくら吸っても吐いても、呼吸の音がむなしく部屋に響くだけで、体に空気が入ってこない。丸めた体を自分でさすって落ち着こうと試みるのだが、とにかく怖くて仕方がない。あのハリーハーロウが実験したアカゲザルもきっとこんな気持ちだったんじゃないか。

 

とにかく落ち着こう、小さく丸めた体をほどいてベッドに大の字になってみる。spotifyで好きな洋楽を流して部屋に充満させてみた。ゆっくり吐いて、吸って、またゆっくり吐いて、吸って、お腹で息をするように。1時間ほど経っただろうか。少し恐怖感が薄れたので温かい紅茶を入れた。口に紅茶を含んでゆっくりゆっくり飲み込むと、喉から食道、そして胃が温まってくるのがわかる。少し落ち着いてきたようだ。寝る前の薬を飲んでその日は早めに就寝した。

 

8月4日

目覚めの悪い朝。何とかモネの朝の散歩を済ませて、ウサギの小屋の掃除、洗濯ものなど雑用を開始した。いつもよりずっと体が重くて怠くて、タオル一つ干すのもおっくうだ。昨日のように自分が過去に帰ってしまうと、次の日からしばらく体調が悪化する。

 

今日は午前に病院の予約が入ってた。手際よく家事を済ませてさっさと地下鉄に乗り込まなければならないのだが胸がすごく痛くてやっぱり息が吸いにくい。しかも体中ガチガチでだるくて仕方ない。このまま電車に乗り込むことは不可能だ。病院に電話すると少し遅れてもいいとのことだったので、Youtubeで短いフェルデンクライスメソッドの動画を一個探してやってみた。フェルデンクライスが少し効いて、体の力みが若干抜けた。

 

その後大急ぎで家を出て、カンカン照りの太陽に負けてしまって立ち止まらないように、とにかく速足で駅まで向かった。

 

病院には母も付いてきた。母は、私が自殺未遂してからずっと仕事を休んでいる。病院にもよく付いてくる。きっと私がまたあんなことをしないか不安で仕方がないのだろう。母はあれからよく泣くようになった。最近初めて精神科に行って、抗うつ剤をもらったらしい。

 

帰りにまたなぜか悲しくなってしまって泣いてしまった。すぐに泣き止んだのだけど、次は急にイライラして、全身がささくれ立ってひりひりする。胸が一層苦しくて、何かに追い立てられているような焦る気持ちが湧いてくる。母と今後のことを話していると、やっぱりイライラが抑えられなくって怒ってしまった。泣いたり怒ったり、胸が痛かったりひりひりしたり、いろんなことに振り回されて耐えられない。今すぐ走り出して逃げ出したい気分になってくる。帰って頓服を飲んで、その後はずっと寝ていた。モネも足元でずっとくっ付いていた。

 

8月5日

今日も、朝からひりひりする。モネの散歩中、公園に行くまで乱立している色んな高さのマンションの屋上を眺めながら、どれくらいの高さから落ちたら死ねるだろうと思案する。でもやっぱり飛び降りはとても怖そうだ。想像しただけでぞっとする。この方法は今の私には向いてない。

 

帰ってモネの爪を切ったり、ブラシをかけたり、歯を磨いたりしていると、呼吸が次第に穏やかになっていくのを感じた。ここ3日ずっと痛かった胸がほんの少し楽になって久しぶりに息が吸えたような気分。

 

家事を少しして、フェルデンクライスメソッドを2つする。終わった後、胸郭が柔らかくなって意識しなくても空気が自然に体に入ってきた。体のささくれも落ち着いてひりひりした感じもずっと良くなった。

 

でもやっぱり夕方母とまた対立した。これからのことで。私もどうしていいか分からず混乱する。

 

夜、 プレイディみかこさんの『女たちのテロル』を少し読む。「わたしはわたし自身を生きる」というのはこの本に出てくる金子文子の言葉だ。私は全然私を生きれていない気がする。しがらみばっかりの人生を送っている気がする。

 

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